意味ありげ
「アクロバットミッション」のミッションクリア時に加算されるボーナスは、なぜか百点単位で 細かく設定されている。M2O氏にその意味を尋ねたところ、単に「ゴロ合わせ」とのことだった。
例)14400=「イッシッシ」 59600=「ご苦労」 などなど…。
聞くんじゃなかった。
「アクロバットミッション」のミッションクリア時に加算されるボーナスは、なぜか百点単位で 細かく設定されている。M2O氏にその意味を尋ねたところ、単に「ゴロ合わせ」とのことだった。
例)14400=「イッシッシ」 59600=「ご苦労」 などなど…。
聞くんじゃなかった。
「アクロバットミッション」の3つのアイテム「B=ボム」「W=ウェーブ」「H=ハリケーン」は 「バスト・ウェスト・ヒップ」から思いついたという。
これも聞くんじゃなかった。
「アクロバットミッション」はデモプレイ中に「上下左右ABABCC★」と入力すると、エンディングが見られる。
「C」は本来接続されてないBUTTON3入力
「★」はなんでも構わない
アーケードゲームを作ってることを友達に信じてもらえないM2O氏がほぼ自分のために用意したとか。 でも酔っ払っててコマンド入力に失敗し、やっぱり信じてもらえなかったらしい。
「アクロバットミッション」のタイトル画面にはなぜかタイトーロゴ。これはタイトーに流通で便宜を図ってもらうための条件だったと思われる。 この話が開発に降り来てた日、企画担当のM2O氏はたまたま会社を休んでいたため、 翌日差し替えられたタイトル画面を見て大いにショックを受けた。そしてそのまま会社を辞める辞めないの話になってしまい、 周囲はオロオロするばかりであった。
上からの指示でタイトーロゴのドットを大急ぎで打ったトミ氏はひどく責任を感じてしまい、後に「なんかオレのせいみてえでさあ…」と語っていた。
そういえば「バンダイク」のJALECOロゴを担当したのもトミ氏であった。
実はあれって当時のタイトーリリースのゲームに良くあった「DISTRIBUTED BY TAITO」を足すだけでよかったんじゃないだろうか。想像だけど。
実際タイトーのロケにはよく置かれていて、1つの店舗に2台あったりした。ちょっと時代は違うけど、同じくタイトーリリースの「飛鳥&飛鳥」みたいだ。
ちなみにタイトル画面の本来のメーカーロゴはスタッフロールの最後に出てくる、拡縮するUPLロゴ、だった。
そして拡縮するロゴは16パターンくらいの拡縮する四角形の組み合わせだけで表現されている。これは他のメーカーにはマネのできない芸当であろう。
「ゴモラスピード」のボーナスステージの曲は、メカノアソシエイツの作曲。 元々は「ジュエルズ」(未発表パズルゲーム)のために発注されたものだったと思われる。
「XXミッション」と書かれたメカノアソシエイツのデモテープを聴いてみたら 中身は「アトミックロボキッド」のゲームオーバーだったりしたので、元々どの曲をどのゲームを使うかは はっきり決まっていなかったのだろう。てか、どんな契約なの。
デモテープと楽譜で納品、って話だったので、おそらく差し替え・調整なしの一発仕事なのだろう。それでどのゲームも内容とあれだけマッチしてるんだから、よく考えると凄い。むしろ怖い。
「ジュエルズ」は他もいい曲が多かったなあ。イメージは南米。
「XXミッション」のサウンドテストをチェックすると、 「アーガス」のボス戦のベースだけの曲が登録されているのがわかる。 NMKがハードウェア方面の面倒を見ていたのは確かなので、 サンプルデータがそのまま埋まっていたのでは…と推測する。
「LEGEND OF GAME MUSIC」に未使用曲として収録されちゃってますね、これ。
「1942」っぽい太鼓の独奏もあった。あんなのどっかで使うつもりだったのか。
そういえば開発の基板置き場に「1942」があったなあ。ハーネスがなくて遊べなかったけど。
ロケテスト用のロムをそのまま量産してしまったからなのか、 細かい動作の違ったバージョンがいくつか存在している。 そのため、F氏本人は市場に出回ったのが どのバージョンなのか把握していないようで、筆者が一番最初しかステージ分岐のないバージョン(私物)を見せたら心底意外そうだった。
アーケードアーカイブ版を制作するときに全部で4バージョン見つかったと聞いた。
よく見たら「かにかにクラブ」さんのページにもそう書いてあった。
だからF氏的には死んでもTIMEがちょっとしか増えなかったりいろいろやりにくいバージョンが本命なんだろうなあ。だとしたら…悪いけどクソゲーだあ。
「オメガファイター」のゲームデザインはF氏ではなく、 ある大手メーカーから移籍した、某有名ゲームデザイナーの作品である。
このことに触れないまま鬼籍に入られたので、ここではもう何も言うまい。
ゴモラ以降のゲームでは効果音にPCMも用いているが、 音源ソースは危なっかしいものが多い。ヤマトやガンダム等の アニメから、メジャーなSF映画まで、挙げるとキリがない。 「シュトラール」のステージ冒頭の「Be careful」「You too」は、 映画スターウォーズのやり取りである。よく聴くと後ろで別のBGMが 鳴っているのがわかる。
それにしてもサウンド担当N氏のチョイスはいつも絶妙と微妙の中間だった気がする。
ガンダムから取り込んだ爆発音で兵士のうめき声が入ってるのとかあった。ちっちゃなミサイルを撃ち落としても「ゥアァ~!」といううめき声が聴こえ、「あれが有人兵器なのかよ、アイゼルンガイスト非道過ぎだな」と筆者は思ったが、やはり評判が悪くて即ボツっていた。
「BREAK SHOW」のボイスにはどこから持ってきたのか外国人女性の「アッハ~ン♥」が含まれていた。「これ、どこで使うんですか」「2P女キャラだからね」いや、だからどこで使うんですか。
そういえばライブラリには「必殺シリーズ」のCDもあったなあ。
デザイナー志望者の面接の時、F氏が実技試験で出す課題は決まって 「馬」と「寺」であった。そういうわけで、後期のUPLで活躍したデザイナーは 全員、履歴書の裏に「馬」と「寺」を描いた経験がある。
デザイナー採用だったM2O氏はそれらが上手に描けなかったので、追加で得意な女のハダカを描いたとか。
酒の名前で統一されている事に気付いた人は多いと思う。 筆者もその事は知っていたのだが、詳細が分からなかったので調べてみた。 スペルが結構デタラメだったので、以下には修正したものを掲載する。
2面:BACARDI→バカルディ(ラム)
3面:HERRADURA→エラドゥーラ(テキーラ)
4面:BARBARESCO→バルバレスコ(イタリアワイン)
5面:DRAMBUIE→ドランブイ(スコッチウィスキー)
6面:COURVOISIER→クルボアジェ(コニャック)
7面:GLENDULLAN→グレンデュラン(スコッチウィスキー)
8面:COINTREAU→コアントロー(オレンジリキュール)
9面:TATSURIKI→龍力(日本酒、兵庫の地酒) ※「龍力」のサイトへ
F氏は若い頃飲み屋(というかキャバレー)に勤めていたと聞いたのでその知識からの命名なのだろう。
ちなみにF氏自身はほとんど酒が飲めなかった。
TATSURIKIがデカい割に乗員3名なのは「みんな逃げたから」だと誰かに聞いた。
シュトラールのインストにもあるこのコピーは全スタッフでアイディア出しを行った。 その中で抜群にヒットしたのは、当時の味の素のコピー「お箸の国の人だもの」を パクった「鋼鉄(はがね)の国の人だもの」だったが、これはさすがに採用され なかった。
そういえばこの頃、吉田戦車の漫画で「鋼の人」っていうのがありました。
在庫がダブついているとか、問屋が引き取ってくれなかったとか、 いろいろ噂があったが、倒産直前の開発室にはMD版「宇宙戦艦ゴモラ」のダンボールが 山のように積まれていた。筆者らはその状態が示す深刻な意味を無視し、 「ゴモラ」の文字にマジックで線を書き足して「ゴモヲ」に したり「ゴモタ」にしたり「ゴモチ」にしたりして遊んでいた。
市場に普通に出回った量産バージョンと、そうでないバージョンが存在する。 見分け方はタイトルロゴ。ぬめーっとパレットアニメを続けるのが 量産バージョン。しないのがレアバージョン。内容的に一番違うのは、 ステージクリア時に残したボムの数で最大積載量が増えるか増えないかで、 レアなバージョンは増えない。ちなみに筆者がレアバージョンを確認 したのは上野の「西郷会館」のみ。
よく考えると、単にロケバージョンがいつまでも稼働してただけなのかも。
パレットアニメはタイトル画面が地味すぎるからとF氏の発案で後付けで入れたもの。 オメガファイターみたいなのをイメージしてたんだろうけど、元のデザインが違い過ぎるのよなあ(F氏本人は格好いいね!と言っていたけれど)。
原画のコメントにちらっと書いてあるのだけれど、ラスボス「シュトラール」は 合体したり分離したりと様々な攻撃パターンを搭載する予定だった。 最終面の画面の上下にある鉄骨は実はレールで、そこを反射板が滑り、 「シュトラール」の発する光線を反射し、自機を襲う…はずだった。
当時、どっかの雑誌の記事には「シュトラールというのはドイツ語で『要塞』という意味だそうだ」とあった。そんな事言ってないから。
そういえば、そもそもシュトラールって要塞じゃなくないか。
筆者が見つけた「鋼鉄要塞シュトラール」の裏技。 装備選択画面は、Aボタンで決定した後でもBボタンでキャンセルして 1つ前の項目へ戻れる親切設計なのだが、実はキャンセルしても「決定した」という 情報は残っていて、メインやサブに強い(=積載量の大きい)兵器を割り当て、 ボムへ回される積載量が少なくなってしまっても、キャンセルで戻って タイムアップまで待てば、任意の兵器を選択したまま、初期積載量をすべてボムへ 回すことができる。
結構知られてますか、そうですか。
シュトラールの基板を持っている人なら多分知っているのではないかと思うが、 オブジェクトROMには未使用のメッセージや未使用の大ボスなどが埋まっている。 この大ボスは本当なら2面のボスで、火炎放射で攻撃してくる予定だったが、 担当プログラマーが火炎放射の表現に悩んでいる間に開発が終了してしまったため、 お蔵入りとなった。
なおこのプログラマー(KNY氏)は後に「バイオメタル」で火炎放射で攻撃するボスを作っている。
「アルバイテントゥルム登場」みたいなボス紹介はきっとステージ開始時に出したかったのだろう。KNY氏が体調を崩して最終調整を代行していたA氏に、筆者が「ボス紹介のメッセージ、入れたほうがいいと思うんで僕がやってもいいですか?」と提案したら「海外版はどうすんだよ!」とすごい剣幕で怒鳴られた。「あ、そーっすよね…」と引き下がったんだけど、「残念だけど海外版ではナシにしましょう!」とか言って喰い下がればよかったな。
ちなみに「シュトラール」の海外版は未発表(DIPのLANGUAGE設定もシュトラールにはない)。
UPLが倒産すると、翌日には債権者たちがオフィスの鍵を付け換えたりしてのっとって しまい、社員はオフィスへの出入りが出来なくなった。 後日ようやく私物を運び出す事が許され(ただし監視付き、ひとりずつ交代)、筆者もめちゃくちゃに荒らされた開発室から 荷物をどうにか掘り出した。そして部屋を出るとき、未使用のUPLロゴ入りジャンパー (ショーの時にコンパニオンの女性が着てた)が床に何着か放置されているのが目に入ったのだが… 持ち物がいっぱいだったので、あきらめるしかなかった。
1着くらいどこかに押し込んでおけばよかった。
「快速!すぱろ~ず!!」の自機は3タイプ。
スピード:中/攻撃力:中/ボディーカラー:青
スピード:高/攻撃力:低/ボディーカラー:赤
スピード:低/攻撃力:高/ボディーカラー:オレンジ
それぞれ、「コーディー号」「ガイ号」「ハガー号」と呼ばれていた。
ガイ号の必殺技が「無敵になりつつ超加速して白っぽい残像を残す」という攻撃だったので、NMKの「ガンネイル」でそれによく似た表現を見つけた時は反射的に「盗られた!」と思ったんだけど…まあ、そこまで独創的でもないか。
プログラマーA氏は、他人の作ったゲームに対して技術的な興味と対抗意識を 持つ人であった。ある時は「ソニック」のループ通路に疑問を持ち、 図面を描いて一日中それとにらめっこしていた。 そんな彼が「オレには作れないかも知れない…」とこぼしていたのが「阿修羅ノ章」。 暇さえあれば、アーケード版のソースを元にPCエンジン版の 移植にいそしんでいた。会社が倒産する頃には結構遊べるように なっていたので、あのまま継続していたらそのまま発売されていたかも知れない。
言われてみれば地形属性判定用のマップを持たずにあのアクション(乗る、くっつく、下から突き抜ける、レバー下で降りる、泳ぐ、他) を矛盾なくこなすのはなかなか困難そうである。
不意にM2O氏が「あれ?知らなかった?」と言った。 F氏が関わったのは確かで、会社に基板もあったという。 でも、UPLの他のゲームとはフォーマットも作風が違いすぎるし、 デザインはやってても開発はヨソなんじゃ?
筆者は今後も「どちらかというと否定派」を貫く。
「ペンゴ」のブログラマーがプログラムを担当した、という噂をどこかで聞いたのを思い出して調べてみたらどうも本当らしい。言われてみればゲームのフォーマットも似てる。
同僚から「オネアミスの翼」のサントラを借りて聴いたサウンドのN氏は、 2、3日後にメインテーマのメロディラインを差し替えたような曲を 「シュトラール」のために作った。しかし、このデータはフロッピー(!)が 飛んでオジャンになった。N氏はそれにめけず、今度は「ブレードランナー」を 聴いて、改めて「シュトラール」の曲を書いた。これはステージ1前半のBGMである。 この事をふまえてあの曲を聴くと…ほら、そんな風に聴こえるでしょ?
フロッピーが壊れて駄目になった曲はもう1曲あって、そちらの曲についてM2O氏は 「イントロが『いなかっぺ大将』みたいな曲」と評していた。確かにパーカッションで始まるけど。
で、イントロ部分は(複雑で)思い出せないんだけど、その後を頑張って再現してみた。うん、確か、おおむねこんな感じ。
当時、イメージスケッチの"Prototype A"にすごく似てる…と思ってたんだけど、再現してみるとあまり似てない。パーカッションを似せて強引にそういうことにしてしまおうとしたけど3/4拍子なのでそれもハマらない。あれ?
M2O氏から「アクロバットミッション」のエンディングについての解説が 寄せられた。「しゃべり口調で書いてるからなんだったら適当に直して」との 事だったのだけど、手直しするうちにニュアンスが変わってしまいそうなので、 そのまま引用。
一部の人たちの間では、シュールとか言われてしまっている「アクロバットミッション」の
エンディングですが、オレとしては凄くシンプルにしたつもりです。
簡単に説明すると、機械惑星が爆発したさまをジェットとノバが見てるってだけです。
機械惑星=というか、バイオコンピューターは地球の様々な知識を詰め込んでいたので、
それを表現しようと、あのような幻影=地球の歴史を次々と映し出してみたわけです。
あのシーンはオレが「2001年宇宙の旅」を独自解釈した結果の産物です。幻影→目の
アップっていう流れはソックリでしょ?
ただそれだけなのに、なぜ「シュールな、一見の価値ありエンディング」などという
称号をもらってしまったのか?最近になって、その理由がだんだん分かってきました
(もう何年経ったことか…)。それは、あのゲームをやった人みんなが、火星に攻めて
来た謎の機械惑星が「地球に置いてきたバイオコンピューター」だと気づいていない
せいじゃないかと思うのです。
あれはどっかからやって来た悪の軍団なんぞではなく、地球に設置してきたバイオ
コンピューターそのものなんです。
地球の環境破壊の原因をさぐり、それを回復させるために開発したバイオコンピューター…
彼が弾き出した答えは「環境破壊の原因=人間」「対処方法=人間の抹殺」だった
わけです。
それで火星に移住した人類を移動機械惑星となって、殺しに来た!!
これが分からなきゃ、確かにエンディングで地球の歴史が映し出される意味が
分かりませんわな…。
と、まあ、非常にシンプルな話だと思うのですが、説明が足りなかったのかなぁ?
でも、あんまり説明してもシラけるしねえ…
これで分かってもらえるでしょうか。あ、ちなみにオレの頭の中ではジェットとノバ
は幻影に見とれているウチに爆風に巻き込まれて死んでます。
ジェットとノバまで死んじゃってるとは思わなかったなぁ。 そういえば、スーパーファミコン版は機械惑星がバーンとぶっ飛んでおしまい、だった。 「いやあ、だから、それ、めでたしめでたしじゃないんだけど」とツッコんだっけ。
後にM2O氏が個人で制作したPLARINET(プラリネット)は ストーリー的にアクロバットミッションの続編である、と明言されている。
「宇宙戦艦ゴモラ」はCDのライナーノーツにある通り、ショーの時点でCD化が決まっていた。 その際サイトロン社から「ムスタング」とカップリングでという提案があったそうだが、 サウンド担当N氏は「NMKとカップリングなんて嫌」と言って、蹴っちゃったという。 当時NMKをなんだかよく思ってなかった筆者は「そうっすよね!」と激しく同意したのが、 今にして思うと…実にもったいない。
近頃は元NMKの人たちとのコネクションもあるので、なんだか非常に申し訳ないと思っております。 自分にはどうにもならんかった事ですけど。
「アクロバットミッション」はBGが1面しかないはずなのに 1面の後半では多重スクロールをしている。 どうやって実現しているかというとそこはよくある手で、OBJを敷き詰めている。 なので、多重スクロール直前の斜めスクロールの所でボムを使うと、 BGだけがフラッシングして継ぎ目がハッキリ分かる。 それが露見するのを防ぐため、そのシーン前後は敵が配置されていない。
筆者はそこで必ずボムを使って確認するので、M2O氏に「やめなよー」と嫌がられていた。 3面ボスの直前のゲートが開くところでも同じことができるが(ゲートの片側だけがフラッシングする)、そこまでボムを壊さず進むのは(少なくとも筆者には)難しく、なかなか見られない。
「バンダイク」では敵を踏みつけてダメージを与える事が出来る。
効果的に使える場面があるかなあ。
「バンダイク」のぐるぐる回るスロット式のアイテムは、企画意図的にはアイテムショップなんだとか。
アイテムショップって言いたいだけとちゃうんかと。
「バンダイク」の2Pキャラは1Pキャラのいわゆるパレット違いだが、 デザインレベルでは「女戦士」と「ドワーフ爺」が用意してあったという。 でも、それってモロ、「ゴールデンアックス」じゃん。
ゲームの仕様的には全モーションを5方向分(3方向は反転で済む)描かなきゃいけないから、キャラ増えたらかなり大変。
しかもやや見下ろしの構図になってて描きにくい。
ちなみに内容のよく似た「ワルキューレの伝説」は真横からの構図で、かつ、前・後・左右の3方向になっている。ゲームを作り慣れてるってこういうことだよなあ。
ある時、先輩諸氏と雑談をしていて…
「そういえば、ゴモラとかアクロバットとかは断片的にでもストーリーが語られてますけど、
『バンダイク』にはそれが全くないですよね」
「いや、ボツったけど、Aさん(シュトラールのプランナー兼デザイナー)が書いたのがあったよ。
『オレの村が燃えている』とか『オレが狩りに行っている間に』とか」
やっぱり「怒涛の如き不況の波!」なんてフレーズを生み出す人は文才があるというか、なにか心に訴えかけるものがある。
考えたこともなかったが、だとすると1面のあの村は主人公たちの住む村なのだろうか。巨大ゾウ鼻人間とかが住み着いちゃっては大変だろうに。
F氏はPCエンジン版「ボンバーマン」の多人数同時プレイが非常にお気に入りで、ときどき部下を誘って一緒に遊んでいた。 ある時「アーケード版を作るぞ!」と宣言して動き始めたのだが、ライセンス料について版元と折り合いが付かなかったとかで結局断念した。 後に某社がアーケード版を発売したが、F氏はそのインカムの高さを知り、 「勝手に作ってロケに出して、それからライセンスを取れば良かった」と 無茶な事を言っていた。
某社よりUPLの方が先だったとは断言しない。版元がカマ掛けた可能性もあるし。
あの光栄から「信長の野望」アーケード版を作らないかとの打診があった。 しかも中身は「おまかせ」で良いとの事。M2O氏はさっそくエディタで その当時流行っていた「ポピュラス」っぽいサンプル画面を作ってみたりして いたのだが、話はいつの間にか消滅していた。
自分に任せてくれたら信長が主人公の「源平討魔伝」もどきを作るのになぁと勝手に思った。
御徒町で飲んだくれて終電を逃した時、筆者らはよく会社に戻って、仮眠を取ったり、 ゲームを遊んだりして始発を待ったものだったのだが、ある時、M2O氏が「良い物がある」と言って 自分のデスクの引き出しからROM一式を取り出して「ジュエルズ」のそれと交換し、 筐体の電源を入れた。画面に現れたのは、ゾウとキリンとシマウマと…。 それはサバンナでさまざまな野生動物を観客に、ドーベルマンとトラが1対1で かじりあうゲームだった。
「こ、これは…?」
「(ニヤリとして)動物王国。」
時期的には「ストリートファイター(初代)」より後で「ストリートファイターII」よりは前。 このまま闇に葬るのはとても惜しい気がした。なにしろ絵的なインパクトが普通じゃなかったので。
画面レイアウトが「阿修羅ノ章」っぽく、いかにもUPLのゲーム、という雰囲気だった。
きっとロケテストをするまでもなくポシャったのだろう。
「アクロバットミッション」で自機が敵に弾かれる「バシッ」という音は 「みなさんのおかげです」のコントから録音したものだと聞いた。
当時は、そりゃあ人気の番組だったんですよ。
長淵剛主演のドラマで、主人公が経営する病院のそばにゲームセンターが あるらしく、「アクロバットミッション」の音がよく聴こえていた。
ちゅ、ちゅ、ちゅどっ、みたいな特徴のある爆発音が特によく聴こえた。
ゲーメストの読者ページに「世間ではストIIが人気だけど、私には『バンダイク』の方が 面白い」という、大変にありがたい内容の投稿があった。しかしそれを読んだUPLの開発者たちは「その感覚はおかしいだろ」と大いにウケた。
まあ、なんだかんだ言ってバンダイク大好きですけど。
別の号で「やたらとポーズをつけて筋肉を見せびらかすクラスメートの蛮田育男君」みたいな投稿イラストがあって、そっちは本当に大ウケだった。
UPLはネオジオに参入する予定があり、開発部にはネオジオの開発機材があった。 動作サンプルとして「ネオジオ版バンダイク」が作られたが、これは会社倒産の折に行方不明になった。 筆者はどさくさに紛れてこのカセットを持ち出そうとしたのだが、残念ながら見つけ出せなかった。
マウスオペレーションのグラフィックツールのようだったが、ソフト開発の機能もあったのかな。
あの機材は「作戦名ラグナロク」の開発に使われたのではないかと思うが…実際はどうだろう。
「アクロバットミッション」のロケテストが神保町のゲームセンターで行われていた時、 会社から現金を渡されて「ロケにカネを入れに行け」と指示が下ったことがあった。 これはもちろん一番やってはいけない事なのだが、「怪しまれないよう他社のゲームもいろいろ遊ばなきゃいけない」ので、 筆者は進んで何度か出掛けた。
「オレ、今日も行ってきますから」なんつって。
実際ロケの結果はよかったが、他のお客も切れ目なくついていたので自分らの工作のせいだけではなかったと断言してもいい。
UPLのゲーム(特に後期)はよく「敵が異常なほどカタい」と言われていたが、 それは実際そうであろう。なぜなら多くのゲームでは敵キャラの耐久力という要素のみで難易度の調整を行っていたからである。 特に「宇宙戦艦ゴモラ」は、ゲーム開始から3分経つと無条件に「攻撃力が半分になる」 という恐ろしい仕様であった。「シュトラール」はそこまで露骨ではないが、 ノーミスで難易度が上がったまま4面のボス(巨大戦艦のエンジン)まで行くと、通常攻撃ではボスを 破壊できなくなり、時間切れで自爆する。
ゴモラ、コンティニューすると拍子抜けするほど簡単にクリアできるんで、それだとちっとも上手くならないんだよな。
そして次のステージでまた死ぬ。
「ジュエルズ」のロケテストが「極めて残念な結果」に終わっため、UPLは AMショー(AOUショーかも)に出展するタイトルを失い、開発中でしかも1面しか できてない「TSG-1」を急遽出展する事になった。これが後の「宇宙戦艦ゴモラ」である。 この後「TSG」というコードネームは開発中のシューティングゲームに使われるようになり、 「シュトラール」は「TSG-2」、「すぱろ~ず!!」は「TSG-3」と呼ばれた。
勘のいい人なら分かったと思うが、TSGは「Test Shooting Game」の略である。ベタ。
実験的なゲーム仕様(ゴモラの照準とか、シュトラールの発射角度制御とか)を含んでいるのがTSGシリーズなわけで、 比較的オーソドックスな内容の「すぱろ~ず!!」がTSGと称するのはそういえばちょっとおかしい(もちろんヘンな要素はいくつかありましたけど)。
そして「ジュエルズ」がどうなったかというと、無理矢理「落ちモノ」っぽく改変されて「MANY BLOCK」という韓国ゲーになった(ずーっと後で知った)。
その「TSG-1」が完成に近づいた頃、電話で某ゲーム誌から正式タイトルを尋ねられたF氏は 「う、『宇宙戦艦ゴモラ』です…」と口ごもったという。
製作はもちろん電波新聞社。UPLに打診があった時にはほぼ完成していたらしい。 後はライセンス契約だけだったのだが(もろちん乗り気だった)、結局倒産でうやむやに。
UPLにはX68000がなかったので、営業のT氏はNMKに出かけていって(近所にあったそうだ)、モノを確認したらしい。
ビデオゲームアンソロジーの中の1作だったんだろうなあ、やっぱり。
「アークエリア」のタイトルロゴは一応ポリゴンらしきものがぐるぐる回っているが、 あれは発砲スチロールをカッターで刻んで形を作り、それを回して書き写したのだそうだ。
PC-9801でモデリングしてトレース、とかやってたら「ビューポイント」みたいになれたかもね。
プログラマーA氏は必ず「上下左右☆★☆★」という形式の隠しコマンドを実装している、との事だった。 これは前述のアクロバットの他、ロボキッド、ゴモラスピードにもある。スカラベでのタイトル 「ゴジラ列島震撼」にもやはり同様の仕掛けがあるらしい(ググると出てくる)。筆者はこれにちなんで「下上右左☆★☆★」を組み込んだ事が2度ある。
ゲームの規模が大きくなってからはプログラマーが勝手に隠しコマンドを入れる、みたいな事はできなくなったよなあ。