新・小ネタ

UPL倒産以降のネタもついでだから並べておきます。

実はオメガファイターの続編だった

アクロバットミッションはそもそもオメガファイターの続編、という位置付けで開発が始まっている。 言われてみれば、ボムが自機の横に付く、被弾する、自機の爆発で周囲の敵にダメージを与えられる、などの類似点が見い出せる。 91年の春ごろのバージョンは製品版の2面が1面で、自機が火星を発進するシーンから始まっていた。 その後、S社長の「雷電が売れてるからもっと雷電みたいにしよう」という要望で、火星表面での地上戦が1面として挿入された。

火星から飛び立つシーンで今の1面の音楽が流れるのが非常に格好良く、筆者はこれまでのUPLとは違う新しいゲームになる…という予感をひしひしと感じたのであった。

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大旋風…じゃない

自機の横に付いたボムが被弾すると画面右側にヘルパーとして戦艦が現れ、援護射撃するシステムがあった。 上層部から「わかりにくい」とのクレームがつき、このシステムはボツになったが、ヘルパー戦艦は1面終了時のデモの元になっている。

味方の編隊が飛んでくるパターンもあり、どっちが発動するかはランダムだったと思う。

名残りとして「ヘルパー」というボイスがある。これはサウンドテストで聞ける。

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あのボイスは誰

アクロバットミッションのメカっぽいボイスはギターのエフェクターによるもの。 声の主は古参のサウンドN氏ではない方のサウンドN氏(ややこしい)。

安上がりである。

PCがあればラインから録音できるような時代ではなかったので、音声のサンプリングにはラックにマウントするようなデカい録音機材を使っていた。データはフロッピーに書き出しだったような。いや、EPROMのソケットが付いてたんだったかな。

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聞き覚えがある

古参のサウンドN氏ではない方のサウンドN氏が後に手掛けたのがMDのツインクルテールなのだが、STAGE2でアクロバットミッションのボツ曲が使われているようだった。

アクロバットミッションの脱出BGMの後の展開がこれだった…ような気がする。

先輩方に件の曲を聞かせて「これってそうですよね?」と聞いてみたのだけど、みんな「覚えてない」と言うのだった。

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しかも強くて丈夫です

シュトラールは制作中のある時期まで、自機が2回のダメージで破壊されるというシステムであった。 1回ダメージを受けたあとは、ときどき火花がバチバチするエフェクトが出ていた。

で、友軍機がたまに飛んできて回復、だったと思う。

シュトラールのコンセプトとして重要な要素だったと思うが、なんでなくなったんだったかなあ。

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30年とちょっとの時を越えて…

なかなか録画の環境が整わず、そして整った後も実作業が億劫で手がつかずにいたのだけど、やっと体裁を整えたので「快速!すぱろ~ず!!」の映像をここで公開しようと思う。

本当は仮のタイトル画面があるのだけど、倒産後にスポンサーとして名乗りを上げたとある会社の名前が出ているのでカットしてある。

改めてロゴやらサムネイルやらを用意してくれたトミ氏に感謝。

今遊んでみるとプレイ感覚が結構キツ目で、なかなか楽しそうな絵にならず収録には結構苦労したのだった。

あちこち解説したくなるのでトミ氏とコメンタリーあり版をやろうという案あり。もし需要があればですが。

モノはいつでも提供しますよ、ハムスターさん。短いからお値段いつもの半分程度でキャラバンモードだけとかどうですかね。ハードはシュトラールそのままですし。

調子に乗って作った予告編はこちら

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「すぱろ~ず!!」が奇跡的に現存する理由

UPLが倒産した後、オフィスには債権者が入ってめぼしいものはみんな持ち去られたという(筆者たちはその現場を見てはいない)。 というわけでパソコンや開発機材、ゲーム基板など金目のものはすべてオフィスから消えた。 その中には開発中のゲームも含まれていた(かなり後になってこの時持ち去られたと思われる基板がヤフオクに出品されていたこともあった)が、ゲームとして動作しないものはそのまま打ち捨てられていた。 つまり「すぱろ~ず!!」の基板は債権者たちに見落とされていたのである。それなぜか? 企画担当のトミ氏が機転を利かせて基板からスプライトのROMだけを抜き去っており、起動しても背景が流れるだけになっていたからである。

肝心のROMはポケットにしまったままになっていて、一度お母さんに洗濯されちゃったという。

「ああいうのって防水になってるから平気だよね」とか言っていたけど(笑)、まあ防水ではないでしょうよ。

で、後日基板にハメたらちゃんと動いた…という訳である。

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「すぱろ~ず!!」が転生しなかった話

UPLの営業のエラい人だったT氏が会社を興し(UPLと関係が深かったというEAGLE社やFALCON社のようにトリ関係の社名だった)、 タイトルを変えて「すぱろ~ず!!」の開発を続けていた…という。ロケテストまでは漕ぎつけたらしいが、やはり未発表に終わっている。

僕が技術的に未成熟だった頃のプログラムなので、あれをお手本にして別の人が続きを作ったらそりゃあ詰むでしょう、と思う。

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ラーメン屋さんでつかまえた

サバイバルアーツの演者は主にモデルさんだが、他にレスラーなどもいる。変わり種なのはラーメン屋の店員。 M2O氏が池袋サンシャインシティのラーメン屋さんで働くD氏を見かけ、「出てみないか」と声を掛けたとのこと。 D氏は日本人とアメリカ人(だったと思う)のハーフとのことで日本語も堪能だったので、サバイバルアーツの他、 ダイナギアのローカライズの手伝いもしてもらった。後になってD氏が所用でS社を訪れた折りに「できてますよー」とMONGO(兵士)のステージを 見せようとしたが、MONGOはCPUにフィニッシュムーブを決められ本人の前でバラバラになったという。

当時M2O氏は池袋で外国人を見るたびに声をかけるかどうかでいつもちょっと迷っていたらしい。

D氏にその場でちゃちゃっと訳してもらうこともあった。「なんだっけな~、こういう時に使う言葉があるんですよ」などと悩んだりしていて面白かった。

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認定します、これは本物です

youtubeに「Sam Radetsky(サバイバルアーツのラスボス)にインタビュー」という動画があったのでホンマかいや…と開いてみたら、なんと本物。 Sam氏は当時日本に住んでいて、スポーツジムで声を掛けられた、とのこと(話を持ちかけたのはサミー工業サイドの人のようだ)。 話している内容は(英語だけど)事実と当然符合し、また我々開発チームも知らない事柄も多く、なかなかに興味深いものであった。

サミー工業側も頑張ってたんですね。

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この感覚はネイティブじゃないと難しい

サバイバルアーツ、当初のキャラクター名はもっと無難なものだったが、American Sammyからの監修が入って製品のようになった。

  • MITCHELL→GUNNER
  • DAVID→MONGO
  • DANIEL→DANTEL
  • (忘れた)→VIPER など…

基本的にアクの強い呼び名になったという訳だが、元よりパンチが効いていてゲームの雰囲気作りに一役買っているのは間違いない。

American Sammyから届いた名前変更を指示するFaxには「前はDANTELでしたよね(そうだ、という証言あり)」とか「MONGO(マンゴ…あぶない)」とか書いてあって、なんだか笑ってしまった。

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忍者さん東池袋ノ章

サバイバルアーツの小道具はサミー工業の当時のオフィスから近かった池袋の東急ハンズで調達したものが多い。 日本刀やこん棒のような各種武器、背景ジオラマの素材、演者を乗せる回転台 etc. etc… プロトタイプ版では衣装もパーティグッズ売り場にあるような既製品の忍者服などを使っていた。

この忍者服(しかも赤い)はなかなか着心地がよかったといい、M2O氏は泊まり仕事のときの仕事着にしていた。 でもってある時、ビルの警報装置が夜中になにかの拍子で動作した際、現場確認に来た警備員にうっかり忍者服で応対してしまったとか。

今でも飲み会でこの話をしてみんなで笑うんですよ。

サバイバルアーツの衣装小物って筆者はいくつか持ってたんですけどね。MONGOつなぎは押入れに入れてたらカビが生えて捨てた。GUNNERキャップは出先で普通になくした。

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燃えすぎる闘魂

サバイバルアーツで火炎ダメージを受けたときの人形(ひとがた)の炎はストIIのリュウのフィギュアに包帯を巻き、そこに灯油を染み込ませ、それを燃やして撮影したもの。

その日は筆者も泊まりで仕事をしていたのだが、夜中にデザイナーのW氏(新人)が「やろう」と言い出し、2人で外へ出た。 そしてサミー工業のビル脇の金網(よくある水色の)に包帯ぐるぐる巻きのリュウを引っ掛け、そこへ点火。まあ、燃えること、燃えること…。 筆者は取り乱して「ヤバいよ!燃えてるよ!」と叫んで慌てふためいたが、W氏は問題ないという様子でこれをビデオカメラで撮影した (なのでこの映像には筆者の叫び声が記録されているものと思われる)。

そして金網はというと当然のことながら塗料が溶けたりススが付着したりで明らかにマズい状態になっていたが、 これもW氏が翌日の朝早くにプラモデルの塗料かなんかをちゃちゃっと塗って誤魔化し、事なきを得たのだった。

撮影したものの想定より小さく映っていたらしくわりと雑に拡大されて使われている。

わざわざ人形を燃やさなくてもいいのにねえ。

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あのボイスは誰~サバイバルアーツ編

サバイバルアーツのボイスはS社社員の総出演。収録したいボイス一覧が書かれたリストがあり、スタッフが順番にトイレに籠もって「やあ!」とか「たあ!」だとかを一通り録音。それをサウンド担当のS氏がチョイスし、ピッチを変えたりモノよっては逆転再生するなどしてゲームに使用している。

筆者は早く終わらせたくて立て続けに発音したため、S氏に「もっと間取れよ…」と苦言を呈された。

一部のボイスはそのままダイナギアに使い回された。

音を多少いじってあるものの、関係者はどれが誰の声がだいたいわかる。「ヘイヘイヘイヘイッ」はM2O氏だとか、「はっはっは…」はデザイナーのK氏だとか。あとSANTANAの「ナンバーワーーン!」は筆者です(ピッチ、めっちゃ下げてる)。

後日どこからかのツテで外国人の方の声も録音したのだけど、それがなぜか「ニャア!」「ニョオ!」みたいな声で全ボツになったという(でも格好良かった、とM2O氏は言った)。

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連鎖する「カブト虫」の歴史

某ヒゲオヤジRPGのミニゲームとして知られる「ばくれつカブト虫」にはわりと歴史がある。

SSVシステム版

そもそもはSSVシステムのサンプルデモで使われていたリソースを流用したもので

  • 青い玉を動かして
  • 緑の玉を撃って
  • 赤い玉を壊す

というような、ごくシンプルなゲームだった。 そして開発環境が整ってくるとデザイナーに絵を描いてもらったり、自分でもドットを打ったりして ゲームを発展させていったのだが、ふと「玉を破壊したときに爆風で連鎖したらおもしろくないか?」と思いつき 連鎖で高得点を狙うという根っこの部分ができあがった。しかしシステムは少し異なるものであった。

  • ライフ制。スコアがextendに達するとハートが降ってきて、取ると回復する
  • 破壊したときに得られる得点は1~16777216で、ちょっと頑張るとスコアが億を超えるインフレ度合い
  • 連鎖が進むと処理落ちでスローになるので、それを利用して敵や破片を避ける

ちなみに自機は逆立ちした甲虫で「SCARABIN FIGHT(スカラビアン・ファイト)」というS社にちなんだタイトルが付いていた。 コインを入れてからスタートボタンを押して始める体裁を取っているので、ゲームセンターで稼働できた(はず)。

スーファミ版(1)

■社に入社した直後、慣れないスーファミ+65C816の練習がてらに作ったもの。 ここではじめて3カウント制を導入。 獲得する得点は表示が16x16ドットに収まるよう9999までになった。 共有ディスクに実行ファイルを置いておいたら部内で結構遊ばれていた。

スーファミ版(2)

某ヒゲオヤジRPGの開発中、少し余ったROM容量を何に使うおうか…みたいな 声が聞こえてきたので「これはチャンス、とにかく作って見てもらおう」と作り始めた。 スーファミ版(1)からコードの流用はせず、■社に入社以来●年のノウハウを活かして なるべく処理落ちをしない事を目標に0からコードを書き起こした。結局浮いたROM容量とは別枠で採用された。

Windows版

DirectX2とか3の時代に習作として作ったもの。スーファミ版(2)のアセンブラのコードをほぼ忠実にC++に書き直したので ゲーム内容はほぼスーファミ版(2)のままだが、コンボ表示が追加になり、ゲームオーバー後に コンボ回数の詳細を見ることができた。共有ディスクにランキングデータが置いてそこにゲームがアクセスするようにしたので部内でスコア競争が起きていた。

lity:

GAME BRAIN版

■e社が2008年頃に一瞬運営していたゲームクリエイトツール「ゲーム開発室」(コードネーム=GAME BRAIN)のサンプルとして作ったもの。 ドット絵は新規だったがプレイ感覚はスーファミ版(2)に近い。なんだかんだあって未発表に終わっている。

このタイトルは●ッキーのわざ「ばくれつきかんしゃ」から発想したものである。

なので作者としては本当は●ッキー関連のアイテムにしてほしかった。

このゲームを所持しているキノコ王国の子供はモブでなく専用の外観を持っており、筆者の本名にちなんで「ミツピオ」という名前がつけられている(ただし設定のみ)。

スーファミ版の攻略本で、当時のアニメ「爆れつハンター」に似せたロゴをわざわざデザインして載せてるのがあった。筆者は「それじゃないんですけど…」と思った。

リメイク版にもそのまま収録されていてうれしく思いつつも、せめて見た目3Dにするとかしたらええやろ…とも思ったり。

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